東北大学大学院環境科学研究科

東北大学大学院環境科学研究科

アクティビティ(2026年度)

2026/07/09 植物由来薬剤による地下浸透性改良技術を開発
―CCUS事業の推進に向けた CO2の圧入性向上と地下エネルギー開発への応用に期待―

プレスリリース

【発表のポイント】

  • 石油資源開発株式会社(以下、JAPEX)は、国立大学法人東北大学(以下、東北大学)と連携のうえ、CCUS 注1 事業の推進を目的として、植物由来の生分解性キレート剤GLDA 注2 に、フッ酸系成分 注3 と塩水洗浄を組み合わせた地下浸透性改良技術を開発しました。
  • 研究成果としては、ケイ素由来の沈殿を、固相側への一時的な移行と塩水洗浄による除去で抑え、鉱物溶解を持続できることを示したほか、CO2貯留層を構成する砂岩・砂質シルト岩を用いた実験で、流体の浸透性 注4 が短時間で何倍にも向上することを示しました。

【概要】

JAPEXは、カーボンニュートラル社会の実現に向け、「先進的CCS事業」をはじめとした国内外でのCCUS事業の推進を重要な経営課題の一つとして位置づけています。

今回、JAPEX技術研究所は、東北大学大学院環境科学研究科の渡邉則昭教授、Jiajie Wang助教らとの共同研究により、地下の岩石層へ効率よくCO2を注入するための地下岩盤改良法を開発しました。 本手法は、GLDA処理液、フッ酸系成分を加えたGLDA処理液、塩水洗浄を段階的に用いて、溶け出したケイ素の挙動を制御し、鉱物溶解を持続しながら目詰まりを抑制し、地下岩石中でのCO2の流れやすさを効率的に向上させるものです。 本成果は、JAPEXが国内外で推進するCCUS事業における注入性改善や、地下エネルギー開発への応用につながることが期待されます。

なお、本成果は、JAPEXと東北大学の共同研究結果として、国際学術誌 Communications Earth & Environment に掲載されました。

【用語解説】

注1. CCUS :二酸化炭素回収・活用・貯留(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)の略称です。 発電所や工場などから排出されるCO2を回収し、地下深部の岩石層に注入して貯留、または分離回収したCO2を原油増進回収などに有効活用のうえ、貯留する技術です。 大気中へのCO2排出を削減する方法の一つとして期待されています。

注2. GLDA :L-グルタミン酸二酢酸の略称です。植物由来原料から製造可能な生分解性キレート剤で、金属成分と結合して水溶液中に保持する性質があります。

注3. フッ酸系成分 :GLDA単独では溶けにくい長石や粘土鉱物など、ケイ素を含む反応性鉱物の溶解を促進する成分です。 本研究では、フッ化水素酸源としてフッ化水素アンモニウムを用いました。

注4. 浸透性 :岩石中を水溶液や気体などの流体がどれだけ通りやすいかを示す性質です。浸透性が高いほど、地下に流体を注入しやすくなります。

【論文・著者情報】

論文タイトル
Green chelating agent–hydrofluoric acid synergy enables sustained mineral dissolution for near-wellbore stimulation in geological CO2 storage formations
著者
Jiajie Wang, Ryota Tamura, Hitomi Hirano, Masahiko Yagi, Tetsuya Tamagawa, Luis Salalá, Eko Pramudyo, Noriaki Watanabe
掲載誌
Communications Earth & Environment
DOI
10.1038/s43247-026-03658-x
研究室HP
エネルギー資源リスク評価学分野 渡邉研究室

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問い合わせ先(研究)

東北大学大学院環境科学研究科
教授 渡邉 則昭
022-795-7384  noriaki.watanabe.e6tohoku.ac.jp

助教 Jiajie Wang
022-795-4859  wang.jiajie.e4tohoku.ac.jp

問い合わせ先(報道)

東北大学大学院環境科学研究科
情報広報室
022-752-2241  kankyo.kohogrp.tohoku.ac.jp