東北大学大学院環境科学研究科

東北大学大学院環境科学研究科

アクティビティ(2026年度)

2026/04/01 金属粒子の扁平化工程のスケールアップ方法を開発
―量産化コスト削減に期待―

プレスリリース

【発表のポイント】

  • 太陽電池などの電極や半導体・電子部品の基板実装に使用されるフレーク状銀粒子の製造工程である、ボールミルを用いた扁平化工程のスケールアップ(大型化とその運転条件決定)手法を新たに開発しました。
  • 小型機での扁平化実験結果と、ボールミル中のボール挙動のシミュレーション結果を解析し、大型機での扁平化実験結果を予測可能にしました。
  • スケールアップにおける実験工数、コストを大幅に削減し、よりよい製品を迅速に量産化する技術への貢献が期待されます。

【概要】

太陽電池の集電電極など、高信頼性が要求される部材には、銀粒子を含有した導電性ペーストがよく用いられます。 ボールミルを用いて扁平化したフレーク状銀粒子は、粒子同士が平坦な面で接触し導電パスが形成されやすくなるため、他形状の銀粒子と比べ、導電性の向上が期待できます。 高価な銀の使用量を削減するため、小型機を用いて開発されたフレーク状銀粒子を効率的に大型機で量産化する必要があります。 量産化のためには、扁平化工程をスケールアップ(大型化とその運転条件決定)することが求められる一方で、そのスケールアップ手法はこれまで確立されていませんでした。
当研究科博士後期課程の小島拓也大学院生、多元物質科学研究所の加納純也教授・久志本築助教(当研究科料力講座)は、 DOWAエレクトロニクス株式会社と共同で、ボールミルを用いた銀粒子の扁平化工程における、離散要素法(DEM) 注1 と呼ばれる計算手法を援用し、 大型機での実験結果を予測するスケールアップ手法を新たに開発しました。 本成果により、スケールアップにおける実験工数、コストを大幅に削減し、よりよい製品を迅速に量産化する技術への貢献が期待されます。
本研究成果は2026年3月18日付で、科学誌 Scientific Reports に掲載されました。

【用語解説】

注1. DEM :離散要素法(Discrete Element Method)の略称です。 DEMは、固体状の要素個々に作用する力をモデル化し運動方程式を立て、その方程式を逐次的に解き要素個々の運動を追跡することで、要素群全体の挙動を表現し解析する方法です。 今回扱ったボールの運動だけでなく、粒子の集合体である粉体挙動など、不連続な運動や現象の表現を得意としています。

【論文・著者情報】

論文タイトル
A scaling up of flattening silver particles using dry ball milling by DEM simulation
著者
Takuya Kojima*, Kizuku Kushimoto, Daisuke Oka, Yutaka Hisaeda, Junya Kano【*は責任著者】
掲載誌
Scientific Reports
DOI
10.1038/s41598-026-44107-1
研究室HP
機能性粉体プロセス学分野 加納研究室