2025/09/01
京都市郊外では太陽光発電と電気自動車の組み合わせで90%のCO2削減が可能に
―国内や他のアジア諸国・地域の都市部での適用効果にも期待―
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- プレスリリース本文
【発表のポイント】
- 1997 年に「京都議定書 注1 」が採択された気候変動対策の象徴都市・京都市を対象に、 屋根上太陽光発電(PV)と電気自動車(EV)の統合による環境改善効果を分析し、郊外住宅地で最大90%のCO2削減ポテンシャルと高い自給率を確認しました。
- 京都市を対象に、東北大学が進める「SolarEV City 構想 注2 」を都市区(1km メッシュ)ごとに詳細解析しました。
- PV+EVの組み合わせは、PV 単独導入に比べてほぼ2倍のコスト削減効果がある可能性が示されました。
【概要】
人間の生産活動によって地球全体に二酸化炭素(CO2)に代表される温暖化ガスが増え続け、それが原因と思われる気候変動によって大規模な自然災害が起きています。
そのため特にCO2排出量の大きい世界の都市部では、様々な気候変動対策が講じられています。
東北大学環境科学研究科の小端拓郎准教授らの研究チームは、1997年に「京都議定書」が採択された京都市を対象に、
屋根に設置する太陽光発電と電気自動車を組み合わせた新しい都市モデル「SolarEV City 構想」を分析しました。
その結果、中心部では屋根の狭さから自給率が限られる一方、郊外の住宅地では最大で9割程度のCO2削減と高い自給率が可能になることが分かりました。
さらに、電気自動車を電池として活用することで、従来の太陽光だけの場合に比べて約2倍のコスト削減効果も見込めます。
京都から得られた知見は、日本や他の国々・地域の都市にも応用でき、持続可能な社会づくりに大きな示唆を与えるものです。
本成果は2025年8月20日に持続可能な都市の研究の専門誌 Sustainable Cities and Society に掲載されました。
【用語解説】
注1. 京都議定書 :1997年、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国会議(Conference of the Parties:COP)の3回目(COP3)が京都で開催されました。 ここでCO2、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類の温室効果ガスを対象に、 先進国の排出削減について法的拘束力のある数値目標などを定めて採択された文書が「京都議定書」です。
注2. SolarEV City 構想 :小端准教授が前職である国立環境研究所特別研究員の時から中心となって進めている、都市における再生可能エネルギーと電動モビリティを統合的に活用し、低炭素かつ持続可能な都市社会を実現するための新しいモデルです。 具体的には、都市部の屋根上太陽光発電(PV)を基盤とし、電気自動車(EV)を「移動可能な蓄電池」として利用することで、電力の自給率向上、二酸化炭素排出削減、エネルギーコスト削減、災害時のレジリエンス強化を目指します。 さらに、家庭や地域のエネルギーマネジメントシステム(HEMSやV2H技術)を組み合わせることで、電力の需給調整や地域内でのエネルギー循環を可能にします。
【論文情報】
- 論文タイトル
- Enabling maximum decarbonization from districts in Kyoto through rooftop PVs by integrating with EVs as battery
- 著者
- Takuro Kobashi*, Junbin Xiao, Tuo Zhang【*は責任著者】
- 掲載誌
- Sustainable Cities and Society
- 研究室HP
- 環境・都市エネルギー学分野 小端研究室
【報道情報】
問い合わせ先
東北大学 大学院環境科学研究科 准教授 小端拓郎
022-752-2259 takuro.kobashi.e5tohoku.ac.jp



