施設のご紹介

環境科学研究科本館

 2016年3月、青葉山の新キャンパスエリアに環境科学研究科の本館が完成しました。 この建物では、消費エネルギーの削減と環境に対する意識向上を目的とし、パッシブな省エネルギー手法である「効率的な自然換気」「自然採光の確保」「グリーンカーテン」が可能になっています。 また、仙台市営地下鉄東西線青葉山駅に近接するアクセスの良さを生かし、せんだい環境学習館「たまきさんサロン」(仙台市)を1Fに開設するなど、地域に開かれた大学施設を目指しています。

効率的な自然換気

 環境面での最大の特徴は、建物北側の東西2ヶ所に設けられたソーラーチムニーです。 ソーラーチムニーとは、建物内に煙突状の空気の通り道(チムニーシャフト)をつくり、このシャフト内の空気を太陽熱で暖めることでシャフト内外の温度差による上昇気流を発生させ、その誘引効果により建物内の自然換気を行うシステムです。 本館のチムニーシャフトは、屋根面をガラス張りにすることで、シャフト内の空気を太陽熱で暖めて上昇気流を発生させています。 また、シャフト上部の排気窓は、事務室に設置されたコントローラーを使って開閉制御を行うことができると共に、雨・風センサーによって天候に応じて自動的に窓が閉じる機能も備わっています。

自然採光の確保

 一般的に、階段やトイレなど居室以外の諸室では、電気による照度確保に頼り、窓のない場合が多くあります。 こうした形態は、災害などで電力供給がストップした際には暗室となってしまい、使用環境が悪化することが指摘されています。 この本館では、東日本大震災での教訓を踏まえ、居室以外の階段室・トイレ・廊下等を含む、すべての諸室に自然採光を取り入れました。

グリーンカーテン

 外気を取り込む南面のバルコニーには、グリーンカーテンを行うためのワイヤー用金物が設置されています。 ソーラーチムニーを利用しているこの建物でグリーンカーテンを実施した場合、ソーラーチムニーの空気誘引にグリーンカーテンの冷却効果が相乗的な効果をもたらし、自然換気による心地よい内部環境の実現が期待されます。

オープンスペース

 環境学習館「たまきさんサロン」をはじめとして、大学と地域、大学と企業といった様々な連携を可能にするため、本館の1階と3階に広いオープンスペースを設けました。 1階の展示スペースでは講演会やシンポジウム、公開講座など、広い用途での活用が可能です。 また、3階の南側居室は、内装を施していないフリースペースとなっており、研究機関や民間企業を対象としたレンタルスペースとしての利用が見込まれています。

エコラボ

 「エコラボ」は、2010年春に環境科学研究科研究棟の隣に竣工した木造校舎です。 宮城県大崎市川渡に位置する農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センターの杉や、同じく県北部から産出された木材といった、身近な木材を無垢材のまま活用した地産地消の建物です。 エコラボの名が意味するのは、Ecology、Collaboration、Laboratory。 シンプルで軽快な現代的外観と、木造の暖かみを併せ持つこの建物の中では、自然とテクノロジーを融合させ、環境負荷の少ない次世代型のくらしを創出する研究の成果が応用されています。

エコラボの建築コンセプト

 木造建築のもつ「暖かさ」「柔らかさ」を生かしながらも、断熱性や気密性といった機能性を満足させる設計です。 見通しの良い吹き抜けやガラス面、採光と換気を兼ねた天窓の存在により、研究者や学生だけでなく、一般市民にも開かれた建物として、「内外に開かれた空間」が構成されています。 吹き抜けを利用した「重力換気」、風の圧力差による「風力換気」、天窓を通した採光、木材と機能性壁材による調湿機能の活用により、電力消費を抑えながら快適な室内環境が維持されています。

 エコラボは「環境科学」をシンボリックに体現するため、里山の保全や森の存続を考慮し、構造材、骨組みから仕上げに至るまで地元の間伐材を主に利用しています。 また、地元の職人が扱い慣れている木造の伝統的仕口継手工法を採用し、少しでも地域経済の活性化に貢献できるよう努めました。

直流給電と蓄電池の利用

 エコラボの屋上には約5.8kWの太陽光パネルが搭載され、発電された直流電流を蓄電池を介して直流のまま館内へ供給するシステムが導入されています。 一般的な太陽光発電では、発電によって得られた直流電流を利用するため交流に変換し、使用する機器に応じてさらにそれを直流に変換する方式がとられています。 この変換の際に電力は熱として約10%程度が失われます。ノートパソコンや液晶テレビといったデジタル機器は直流で動くため、デジタル機器が増加した現在、変換ロスによる電力損失は見過ごせなくなっています。 そうした変換ロスの低減を図る試みとして、エコラボでは直流給電を採用しています。

エコラボと震災

 2011年3月11日の東日本大震災によって、東北大学では28棟もの建物が立て替えを余儀なくされました。 エコラボは2階建てという低層の建物という理由だけでなく、伝統的工法を駆使した木造建築の良さも相俟って、奇跡的に被害が及びませんでした。 さらにエコラボは太陽光発電と蓄電のシステムを備えていたことから、帰宅困難になった学生・教職員の一時的な避難所となって、照明と携帯電話等の情報端末へ電力を供給しました。 エコラボは非常時の機能を念頭に置いて計画されたものではありませんでしたが、被災時のこの経験により、自然エネルギーを地域の独立電源として常時利用し、災害に強いまちづくりに活用できる可能性が見いだされました。 今では、エコラボのシステムを基にした、非常時にも災害時にも自然エネルギーを活用するシステムが、石巻市や大崎市の一部公共施設に導入されています。

エコラボパンフレット

スマートビルDC/ACハイブリッド制御システム

 東北地域における電力不足や災害時における電力対応などの被災地の課題に対し、安定的な電力供給システムの構築とこれに関連した情報サービスの創出を目指し、2012年秋、環境科学研究科研究棟に「スマートビルDC/ACハイブリッド制御システム」が導入されました。クラウドコンピューティング技術を中心としたエネルギーマネジメントシステム(EMS)による太陽光発電及びリチウム2次電池の発電・充放電の最適制御をはじめ、発電量、蓄電量、電力消費量等の見える化並びに照明機器やOA機器の自動制御、EV及びEVチャージャーの制御を可能とするシステムです。


スマートビルDC/ACハイブリッド制御システムパンフレット
日本語版English
[デザイン監修・制作]
石田壽一(東北大学大学院 工学研究科 都市建築学専攻 教授)
藤山真美子(東北大学大学院 環境科学研究科 助手)

小坂研究教育拠点(小坂分室)

小坂分室 小坂分室は、本研究科学生及び職員のフィールドワークやゼミ合宿に供するため開設された当研究科の施設です。
 かつて日本の資源開発の一大中心地であった秋田県小坂町は、現在それらの基盤技術を発展させて、金属資源リサイクル、産業廃棄物処分などの環境事業への展開を進めている地域です。資源開発・利用・環境保全研究などが活発に進められる一方、世界遺産に指定された白神山地や十和田八幡平国立公園の玄関口の一つであり、自然環境に恵まれた地域でもあります。
 地域研究およびフィールドサイエンスの拠点として、小坂分室をご活用下さい。

施設情報

設置場所秋田県小坂町小坂鉱山字尾樽部 32-1
金属鉱業研修技術センター職員住宅 m-2号 (小坂町管理)
使用料金学 生:宿泊費無料,飲食費のみ実費負担
教員等:適宜徴収
備考冬期間(12月~翌年3月末日)は利用不可
利用申込地球物質・エネルギー分野 土屋範芳教授へご連絡下さい

平成22年度利用報告

 平成22年度には本研究科の学生の他に筑波大学生命環境科学研究科、東京大学理学部、産総研地圏資源研究部門、横浜国立大学環境情報研究科、東北大学理学研究科ほかの方々が利用されました。 利用後の感想をよせていただきましたので,webで公開いたします。

PAGE TOP