東北大学大学院環境科学研究科

東北大学大学院環境科学研究科

当研究科について

研究科長のご挨拶

東北大学大学院 環境科学研究科長

環境科学研究科は2003年に創立して,もうすぐ20周年を迎えます。 この間,私たちは,環境科学とは何か,どのような教育・研究を行うべきか,よりよい未来のために何ができるのかを,模索し続けてきました。 その中で,発足当初から取り組んできた事のひとつが文理融合の推進です。 新しいモノを生み出し,それを世の中に生かそうとするとき,単一の視点からのアプローチでは成功しないことが多くあります。 特に,資源やエネルギーの問題では,地球規模で複雑に絡み合った境界条件のもとで最適解を見出す事が必要であり,幅広く・深い知識が求められます。 環境科学研究科には,工学系・理学系のバックグラウンドを持つ教員に加え,社会科学,人文科学を含む幅広い分野の教員が参加して,それぞれの個別分野で世界の第一線で活躍するとともに, 異分野交流を通して環境科学の共通の地平を見出す努力をしてきました。 今後は,これまでに得られた成果を基盤に,さらにもう一歩先に,すなわち,それぞれの分野の知恵を持ち寄って問題解決の処方箋を提案する,環境科学の実践に向けて進んでまいります。

今や世界の多くの国と地域が2050年までにカーボンニュートラルを実現することを表明しています。 しかし,そこに至る具体的な道筋は,まだ霧の中にあります。そして実際にその道を切り拓く使命を託されるのは,今10代,20代の若者です。 環境科学研究科で学んでいる,あるいは学ぼうとしている学生の皆さんには,専門知識を修め地域・社会・世界で活躍する力を培うとともに,問題を俯瞰的に把握する眼力を養い, 自身にとって,また,より多くの人々にとって幸せな未来を選び取っていただきたいと念願します。 環境科学研究科の教育は,当初環境科学専攻の1専攻体制ではじまり,2015年に先進社会環境学専攻,先端環境創成学専攻の2専攻体制に移行して,それぞれ特色あるカリキュラムを整備してきました。 さらに,各種の国際教育プログラムや,研修の実施などを通し,教育目標を実現するための様々な工夫を続けています。 学生の皆さんには,これらの機会を是非積極的に利用して,学びを深めていただきたいと思います。

この2年間,新型コロナウィルスの蔓延で,なにかと息苦しい生活を強いられ,行動を制限される日々が続いてきましたが,私たちが今為すべき事は変わりません。 未来に向けて,共に進んでまいりましょう。

理念

環境科学研究科設置の背景

 近年の大量生産・大量消費という人間活動は、いろいろな新技術や新物質を生み出し、私たちの生活を便利で快適なものにしてきました。しかし、その一方で、自然界の生産・再生・処理能力をはるかに上回る資源・エネルギー消費と大量の廃棄物の発生をもたらし、自然環境の破壊、地球温暖化、生態系の破壊、都市や社会の荒廃などの地球規模の環境問題を引き起こしました。  21世紀を迎えて、人類的・地球的危機はいっそう進行しつつあり、我が国の次期科学技術基本計画においても「環境」問題への取り組みは最重点分野の一つとなっています。

東北大学ならではの環境科学研究

 21世紀の新しい科学技術には、環境と調和し共存する視点が不可欠であり、これまでの世紀とは異なった方向へのパラダイムシフトが必要です。先端科学技術を有する東北大学が、新しい環境調和型の先端学術を世界に発信し、未来発展型社会構造の構築に果たすべき役割と責務は大きいという使命感の下で、平成15年4月に環境科学研究科が設置されました。  環境科学研究科は、総合大学である東北大学の「知」を結集し、持続可能な発展をささえる文化と循環社会の基盤となる社会構造を確立し、21世紀の地球的課題に取り組む高度な知識と能力を有する人材を育てるため、以下のことに取り組みます。

教育

教育目標

 本研究科では、総合大学である東北大学の「知」を結集し,持続可能な発展をささえる文化と循環社会の基盤となる社会構造を確立するため,文系,理系という伝統的区分を越える総合科学として新たな枠組みの環境科学を構築し,多様な領域の効果的接近と新たな学問領域を創出することにより,環境問題の解明と解決に関わる幅広い知識と理解力を有しつつ 深い専門性を持ち,国際社会においても活躍できる人材を養成することを教育の目標とします。

 前期課程にあっては,文理一体教育により環境関連の研究を遂行する上で必要な幅広い基礎学力を習得し,研究課題を独自の発想により展開させ,論文としてまとめて学会等にて発表する能力を備えるとともに,広い視野に立って環境問題を捉える俯瞰的な視野と,専門分野における研究や技術・教育指導のための基本的能力を備えた人材,環境政策・地域開発を立案するための素養を備えた人材を育てることを教育目標とします。

 後期課程にあっては,幅広い観点からの社会的要請を視野に入れ研究課題を開拓し,独自の発想からその課題を展開させ,国際水準の論文をまとめて国際会議にて発表する能力を有するとともに,研究経験をもとに関連の環境分野においても主体的に研究を遂行あるいは環境政策や地域開発を提言できるだけでなく,将来とも自己啓発をしながらリーダーとして広い視野に立って国際的視点から研究あるいは環境政策を指導できる人材の育成を教育目標とします。

これらの目標への達成度は, 前期課程においては,

  1. 独自の発想により研究課題を展開させ遂行する能力
  2. 学術論文,技術資料,政策資料,文化資料等の理解度
  3. 国内学会等における研究発表,討論能力
  4. 学術報告の執筆能力

などで評価されます。
後期課程においては,

  1. 環境研究や環境政策等の企画・立案・遂行能力
  2. 学術論文,技術資料,政策資料,文化資料等の調査・分析能力
  3. 国際的に優れた学術論文を執筆するための基礎学力および関連分野の研究評価能力
  4. 国際会議等での論文発表能力
  5. 大学院前期課程の学生に対する研究の補助能力および将来広い視野に立って研究を指導できる幅広い学力

などで評価されます。
従って,学生には,修了時にはそれぞれ上記記載の事項について十分到達し,習得していることが要求されます。

ディプロマ・ポリシー

 環境科学研究科では、環境問題を捉える俯瞰的な視野と高い倫理観及び責任感をもち、専門分野における研究や技術・教育指導、又は政策の企画・提案等を行うための素養として、次に掲げる目標を達成した学生に修士の学位を授与する。

博士課程前期2年の課程

  1. 独自の発想により、研究課題を展開させ遂行する能力を有している
  2. 学術論文、技術資料、政策資料、文化資料等を的確に理解できる
  3. 自身の研究課題および研究分野に関する基礎知識と学力を有している
  4. 国内学会等における研究発表と討論能力を有している
  5. 学術報告書の執筆能力を有している

東北大学大学院環境科学研究科学位論文に係る評価に当たっての基準:
修士論文の評価基準

博士課程後期3年の課程

  1. 環境問題の解明と解決に関わる豊かな学識と高度な専門的知識・理解力に基づく、研究あるいは環境政策等の企画・立案・遂行能力を有している
  2. 学術論文、技術資料、政策資料、文化資料等を的確に調査・分析ができる
  3. 国際的に優れた学術論文を執筆するための学力および関連分野の研究評価能力を有している
  4. 国際会議等での論文発表能力を有している
  5. 大学院前期課程学生の研究に対する補助能力、および国内外における環境科学分野の研究を先導する能力を有している

東北大学大学院環境科学研究科学位論文に係る評価に当たっての基準:
博士論文(課程修了によるもの)の評価基準     博士論文(論文提出によるもの)の評価基準

カリキュラム・ポリシー

 環境科学研究科では,ディプロマポリシーで示した知識と能力を学生が身につけることができるよう,以下の方針に基づき教育課程を編成・実施する。

博士課程前期2年の課程

  1. 文理一体教育により環境関連の研究を遂行する上で必要な基礎学力を向上させ,研究成果の論理的説明能力,又は課題を発見し解決する能力を育み,広い視野を有し、深い専門的知識を修得させる
  2. 研究課題を高度に実践する能力,及び独自の発想によって課題を展開できる能力を育成する
  3. 学修あるいは関連科目等の履修を適切に評価するとともに,修士論文,又は政策等の提案型研究成果の審査及び試験を適切に行う

 これらの方針を実施するための教育・学修方法及び評価方法は以下のとおりする。

博士課程後期3年の課程

  1. 多様で複雑に絡み合う環境問題解決に貢献し,新たな知の創出と実践において、国際社会を先導することのできる人材育成をするために,研究活動を介した高度で幅広い専門知識の修得に加え,インターンシップや企業等との共同研究などを介した社会的実践教育において,研究企画・推進能力,専門知の論理的説明能力を育む
  2. 研究遂行に求められる高い倫理観やリーダーシップを育む機会を提供するとともに,最先端の研究手法ならびに研究成果を学ぶ場を提供する
  3. 学修あるいは関連科目等の履修を適切に評価するとともに,博士論文に基づき,研究成果の審査及び試験を適切に行う

 なお,博士論文に基づく研究成果の審査及び試験は,論文の主題の社会的・学問的な必要性,主題に即した研究方法の選択,豊かな学識と高度な専門的知識・理解力に基づく研究あるいは政策等の企画・立案・遂行能力,学術論文・技術資料・政策資料・文化資料の的確な調査・分析・引証,国際的な学術水準及び学際的観点をふまえた優れた分析・解釈・提案及び学術における議論の深化・発展への貢献等について審査等を行い,教授2名を含めた本研究科等の教員3人以上による審査委員会にて評価を行う。